富士山は独立峰ゆえに、色んな方向から色んな向きの風が乱れ吹く山です。
その風が作り出す雲も、色んな表情があるので、見ていて飽きません。
天気の良い時の雲、天気の悪い時の雲、色も形もすべてとして同じ物のない一種の芸術品。
750hpa天気図を削除してしまっていたので、AUPQ35しかありませんでしたが、
当日の高層天気はこんな感じでした。
5000m帯にある35kt~50ktの矢羽根が富士山近辺で複雑に巻く天気図。
オホーツクにある低気圧が南東進傾向だったので、富士山は間もなく強風圏に。
登り始めは、御殿場~箱根にかけて雲が掛かっているものの、
遠くは三浦半島~房総半島南端まではっきりとした視界。
相模湾の海岸線も明瞭で、金時山から小田原市、江ノ島まで見えています。
九合目の鳥居。
山頂上部は青空も見えてます。
あまり見掛けないタイプの影富士で、走査線が走っているように見えます。
西側に高い雲があるせいか、反薄明光線とともに影富士が伸びていきました。
下界は綺麗に雲海に沈みました。
高層圏では巻層雲と巻積雲が見えてきたので、このままいくと天気は下り坂。
標高によって雲の形が違うので見てるぶんには異世界。
地上と空を分け隔てるような壁に見えます。
西日が強いのか、影富士がはっきりとしたコントラストになりました。
毎度のことながら、デカい。
濃淡のしっかりした夕焼け。
その後、19時には一面ホワイトアウトの世界に変わりました。
急変しすぎ!
そんな夜は星景写真勤しむこともできないので、山小屋のスタッフと語らいながら
素直に就寝しました。
そして、翌朝…まだホワイトアウト。
この白いスクリーンの向こうには、山頂の剣ヶ峰があります。
こちらは鮗池(このしろいけ)
地面の切れている先は山頂火口です。
真っ白で何も見えません。
御来光は見えませんでしたが、ある程度昇ったのか、
上層の雲から光芒が漏れて来ました。
強風の折、富士山の東側に発生する吊るし雲は荒天の予兆。
眼の前に吊るし雲の子供が生まれました。
山頂付近の風が強ければ、火口は風が渦巻いて風のすり鉢になります。
全身青色のマイケル・ジャクソンが火口に向かって立っていますが、角度見て下さい、角度(笑)
吉田口の本八合前下りてくる頃には、一段と発達してきました。
眼の前に見える吊るし雲は、竜の巣感たっぷりです。
本八合目・上江戸屋横から見た吊るし雲です。
下山道に入っても大きさが変わりません。
見上げた青空との対比が神々しかったので、何回も止まっては撮り止まっては撮りしてました。
外国の方だったので、教えてあげようとしても言葉わからず…ごめんなさい(笑)
富士吉田へ下りてくると、富士山は見えますが、山頂部はプチ笠雲。
まだまだ風が強そうです。
そこから水ヶ塚公園の駐車場へ行くと、西の空は好天を運んでくる空に。
前日大陸側にあった高気圧が本州付近に差し掛かってのことでしょう。
天気が荒れることが多い富士山。
荒れる時は極端に荒れます。
それが、人間の住む世界ではないことを教えてくれる一面もあります。
普段は地上で暮らす我々人間が、神域である富士山に登ると垣間見る神様のいる世界。
実際にその世界を自分の目で見ると、瞬間的に畏怖心で支配されてしまいます。
『分を相応に登られよ』
そういう声が聞こえてならない瞬間。
日本のどこの山にも神様はいらっしゃいます。
登頂踏破征服、自分の山だなんてもってのほか。
その神域には人間の分相応で登ること。
山に入らせてもらっている人間が根底に持っていないといけないことだと思います。
信仰の山には信仰心で登らないと、見えるものも見えないよ。
晴れるにも理由があり、荒れるにも理由がある。
こういう日を体験させてもらえると、少しだけ俗世に寛容になれる自分がいます。
さぁ、神様の山が今日22日中にも世界遺産本登録なるか?
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