世界遺産の山を歩く 山楽部

2013/04/22

幽谷の赤井谷 【その4】

1回では綴れないだろうなと思っていた、今回の山行。
案の定、4部作になってしまいました。

幽谷の赤井谷【その1】

幽谷の赤井谷【その2】

幽谷の赤井谷【その3】


それくらい充実した山歩きは久しぶりだったのかな。
四季折々の姿も見てみたいと感じた赤井谷。
今から振り返ると表題の【幽谷】なんかじゃなく、【癒しの森・赤井谷】がしっくりきます(笑)
でも今更変更すると収まり悪くなるのでそのままにしておきます。

最終的な図解です。
釈迦ヶ岳へ登頂後、太尾登山口までの稜線を歩いて下山。


この釈迦ヶ岳の北側にある「両峯分け」は、世界遺産・大峯奥駈道の中でも特に重要な場所。
奥駈道は第1番靡の熊野本宮大社・本宮証誠殿から始まり、
第75番靡 吉野・六田の柳の宿で終わる、全長約170kmもある国内でも屈指の縦走路。

釈迦ヶ岳より北は金剛界曼荼羅、南は胎蔵界曼荼羅という二つの世界が、
紀伊半島を南北に貫く山々に置き換えられています。
両峯分けを境にして、北は北奥駆、南は南奥駈とも呼ばれています。
写真の稜線こそが修験道の業の道。
中央の尖っている部分は近畿最高峰・八経ヶ岳(1915m)


こちらは南奥駈・胎蔵界の稜線。
北奥駈よりは起伏こそ少ないですが、幾多のピークが待ち構えています。
見下ろすと、大日岳と先程休んだ深仙ノ宿。
靄が無ければ山の向こうは一面海、太平洋が広がっています。


山頂から西側には入り組んだ急峻な谷、宇無ノ川峽。
写真は霞んでいますが、その向こうに重なる稜線は果無山脈。
高野山から熊野本宮を結ぶ熊野古道・小辺路。


近畿最高峰・八経ヶ岳から向こうに見える屋根は、僕の奈良の山の家ともいうべき弥山小屋。
もうすぐ小屋開けの季節です。


山頂でのんびりしている間にもゆっくり太陽は傾いていくので、
17時半そろそろ下山開始。


下りかけると、陽の光を浴びたミヤコザサが金色に輝いていました。


奥駈道より分岐して、右側へ下って行きます。
眼下の稜線を縫って登山口までは一本道。
まぁ、歩みを進めようとしても、こんな景色なもんで度々立ち止まります。


千丈平まで下りてきて鹿の角探し。
ここは鹿の水飲み場があるので、この周辺で落ちていること多し。


結局見つけられないまま、下を向いて笹を掻き分け歩いていると
太陽がもう地平線近くに。


木々の間から見える太陽は、地平線近くの空気の濃い大気に入ると毎秒色を変えていきます。
葉が付く前の木は、森の山の血管みたい見えるので、山が生きていることを感じる。


この時間帯の空が一日の中でも一番刹那的な色。
本当は太陽が沈んでからがマジックアワーといわれるけれど、
毎分毎秒ごとに色が変わる魔法の時間は始まってる。
森と空が同じ色に重なるまで、その場に足止めされる魔法。
釈迦の教えは呪法を否定したけど、山頂のお釈迦さんは僕らに魔法はかけてくれたのかも。
ゆっくりしてよかった。


振り返って山頂のお釈迦様に『ありがとうございます』の一言。
山の中では自分がフラットになっている証拠、自然に出る感謝の言葉のひとつ。


それから瞬く間に“今日の太陽”は沈んでしまった。
地球の裏側では“明日の太陽”に生まれ変わって、
明朝また僕らを照らしてくれる。


さぁ、いよいよ太陽が沈んだよ。
急げ急げ。


18時半になってもライトはいらない。
西の空に広がる間接照明は、思いの外明るい。
19時過ぎまでは多分大丈夫。


そしてP1465分岐へ下りてきた時は19時。
古田の森からはこの時間でも30分足らずで下りてこれれば御の字。


分岐下で5分ほど腰を下ろしてラストスパート。
P1434地点で午前中に拾った鹿の角を回収し、一路登山口へ。
しかし、ここからは真っ暗では難しい悪路なので、ヘッドライトを付け下る。
両手ふさがってるので写真撮ってません(笑)


ゴール寸前で体調が悪くなったメンバーが出たので、15分程休憩。
帰りは急いでいないので、ゆっくり歩けばいい。
登山道に座って空を見上げると木々のから溢れだした星空。
西の空に上弦の月が出ているにもかかわらず、散りばめられた星たち。


そして、無事に20時に駐車場へ到着。
三人とも無事に怪我なく帰ってこれたのは、お釈迦様の加護のおかげ。


思う存分歩いた後は、地面に座り込んで一面瞬く星空を見上げる。
僕の山に星は外せない。
山は空に、星に、宇宙に一番近いからね。
いつか言ったかもしれないけど、山は二の次、山の上から星の写真を撮りたい気持ちが
山へ向かわせているだけって。
その一とニの間は物凄く狭くて、ほぼ差はないのかもしれないけど(笑)

写真上の線は流れ星です。


ひと通り星空を見上げた後は、山に向かって『ありがとう』
帰りたいけど帰りたくない、ヘンな時間。
心の一番奥で、『ここは自分たちの住むところではない』って無意識で感じてるんだろうな。


奈良の山では久しぶりに達成感のある山歩きをした。
このブログに綴っていない山を含めて県内のほとんどの山には登った。
その中でも最後に残っていたと言っても過言ではない、この赤井谷。

四季折々、全ての姿を見てみたいと思った。
夏の間はどうしても富士山に篭ってしまうので、わざわざ帰ってくるのは難しいけど、
9月の最後のガイドが終われば真っ先に秋の赤井谷を歩いてみたい。

稲村ヶ岳の続きも残ってるけど、まずはこちらが優先。
森に、木に、緑に飢えて帰ってくる頃、また素晴らしい山に僕を触れさせて下さい。
と、お釈迦様にお願いして帰ったとか帰らなかったとか…。



幽谷の赤井谷【その1】

幽谷の赤井谷【その2】

幽谷の赤井谷【その3】




久しぶりの長編でしたが、打ち終えてすごく満足してます。
この勢いで去年の富士山の分を更新できればなと…(笑)



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1 件のコメント:

  1. 赤井谷をもう一度歩きたいと、検索してHITしました。
    地図を参考にさせていただきます。
    前は、連れて行ってもらい、今回は、自分で
    道をハンティングしないといけないので、とても
    参考になりました、まえは、深仙の宿付近尾道に
    上がる前は、綺麗な整備されたところは、
    通過しておらず、ひたすら石楠花の根っこ尾根を登った記憶があります。

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