2014/06/06

富士山 登山客に簡易トイレ配布の件、解説します 

先日河口湖へ滞在中、新聞の誌面で見たのがこれ。
『登山者に簡易トイレ配布』の見出し。

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登山客に簡易トイレ配布 山頂の環境に配慮 山梨県
(2014/6/ 5 14:16)
http://www.at-s.com/news/detail/1064513477.html

 富士登山シーズン序盤に山頂のトイレが利用できないまま登山客が訪れることを受け、山梨県は一部期間中、登山客に簡易トイレを配布する方針を固めた。富士山が世界遺産に登録され、山頂の環境保全が課題となっていた。

 登山客の最も多い吉田口登山道は例年7月1日に登山道を開通させている。一方で残雪により燃料を運搬する重機は通行できず、山頂のバイオトイレは1日時点では使用できない。山頂から一番近いトイレでも徒歩で少なくとも40分はかかり、例年、登山道脇や山小屋の陰で用を足す客が後を絶たない。

 山頂の山小屋を管理する静岡県側の関係者らはこれらの事情を受け、静岡側の3登山道の開山日の基準を7月10日に遅らせることを決めている。関係者によると、ことしは雪が多く、登山道開通日はさらに遅れる可能性があるという。

 山梨県は吉田口登山道のみ開通する7月1〜9日と9月11〜14日の間、簡易トイレを持っていない登山客に対し、5合目付近で無料配布し回収する方針。今後、麓の山梨県富士吉田市や山小屋関係者と調整を進める。

 静岡県自然保護課の担当者は山梨県の対応について、「使用済みの簡易トイレをきちんと持ち帰るようマナーを徹底させる対策を取ってほしい」と話している。山梨県は「配布は啓発のための第一歩。登山客は自分で簡易トイレを準備し、富士山の美化に努めてほしい」と呼び掛けている。


簡易トイレ回収検討 富士宮市長「原則は持ち帰り」
(2014/6/ 6 08:03)
http://www.at-s.com/news/detail/1064513662.html

 県の富士登山ガイドラインで持参を呼び掛けている簡易トイレが使用後に登山道周辺などへ不法投棄される恐れがあるとして、富士宮市の須藤秀忠市長は5日の定例会見で、富士山富士宮口で、使用済みの簡易トイレの回収方法を検討する考えを示した。

 須藤市長は「使用済みの簡易トイレは家に持ち帰るのが原則」と強調した上で、「快適な登山の受け皿づくりのためには、登山口がある市として回収処理も考える必要がある」と述べた。回収処理にかかる費用調査などを進め、実施を可否判断する見通し。

 今夏の開山日は山梨県の吉田口が7月1日、静岡県の3登山口(富士宮、須走、御殿場)が同10日。山頂のトイレは静岡県側にあり、同1日時点で利用できず、し尿による環境悪化が指摘される。

 こうした事態を受けて、山梨県は吉田口で登山者に簡易トイレを配布する方針を示したが、静岡県側の関係者は「持ち帰りのマナーが徹底されるのだろうか」と危惧している。
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記事を読んだ後の率直な感想は、『どこでするの?』ってこと。
まず今回簡易トイレを配布する山梨側・吉田口は計15件の山小屋がある。
御存知の通り、各小屋にはバイオトイレが敷設されています。

じゃあ何故今回簡易トイレを配布するか…の本題はここにあります。

富士山は現在公に5ルートの登山道があります。
・山梨県は2ルート(吉田口・河口湖口)、
・静岡県は3ルート(富士宮口・御殿場口・須走口)

この5ルート、静岡県と山梨県では開山時期が違うことです。
7月1日にお山開きだからと言って、富士山が一斉に開山というわけではないのです。
両県の開山日は、山梨の2ルートが7月1日から、静岡の3ルートは7月10日から。

山頂にあるトイレは計二箇所。
山梨側の下山道起点と、静岡側の山頂富士館裏にあります。
山頂トイレも両県の開山日程と共に使用可能になればいいのですが…。


仮に7/1、吉田ルートで登頂した場合、トイレは下山道の起点になります。
が、今年は雪融けが遅れるような予想ですので、バイオトイレを作動させる燃料を山頂まで持ってくることができません。
山梨側の下山道は山頂に物資を運ぶ道でもあるからです。
一昨年も残雪は7月半ばまで残り、山頂の山小屋やトイレの使用開始期、下山道の使用諸々何かと遅くなりました。
2012 7/9の下山道 
今年もこのような状態になると、吉田ルートでは八合五勺・御来光館が最後のトイレになってしまいます。
御来光館の標高は3,450m、吉田ルートの山頂は3,720m。
標高にしてわずか270mの差ですが、夜間には山頂御来光を目指す登山者の渋滞が一番酷い区間でもあります。
コースタイム的には八合五勺から吉田口山頂までは、夜間で1時間半弱~2時間強、朝・昼間であれば3~40分の行程。
このトイレ空白時間&区間での環境インパクトが大きいのは事実!
その部分への対処策として今回の簡易トイレ配布があると思います。

もちろん途中で用を足そうにもトイレなんてありません。
夜間であれば登山道脇へ立ち小便する人も沢山いることは事実です。
登山道で小便のにおいがするのは、そういう人たちがそこで用を足したということです。
(※富士山では細菌による分解が進まないので、アンモニア臭が酷く臭うことがあります)

これが女性となると、どこでできるでしょうか?
簡易トイレだけ渡されても、用を足すブースはどこにもありません。
目隠しになる各山小屋トイレに並ぶのは渋滞がありますし、何より山小屋のトイレに入れた場合は簡易トイレは必要ないですよね。

あとひとつ懸念するポイントがあれば、吉田口下山道途中にある避難シェルターの中。
いつからかここで用を足す輩が増えてきて、中はものすごく小便臭い。
本来は雷除け等に設けられたシェルターなのに、トイレにしないようにお願いしたいもんです。
急いで下れば七合目にもトイレあるので、道すがらにしてしまわないように。
何のにために山に、富士山に登りに来ているのかということを考えればわかるもんですが…。


私達ガイドは山頂のトイレが使用可能になるまでは、宿泊の山小屋(本八合目)を出る前に必ずトイレを促します。しつこくしつこく。
『山頂にはトイレがないので、絞れるだけ絞ってきてください』と(笑)
対策はこれしかありませんし、お腹の調子が悪い場合は思い切って断念する勇気も必要です。

こんな中でできますか?
山頂直下の渋滞

九合目から山頂間の登山道

7月初旬であれば、本八合目から吉田ルート山頂までは1時間~2時間。
山頂タッチですぐに折り返したとしても、八合五勺のトイレまで辿り着くのは3時間後…。

諸問題もあるのに、配布決定した簡易トイレの出番はあるのか…。
僕的にはツアーのお客さん&登山者に簡易トイレを勧める場所がどこにもない!

肝心なことに高山病予防をするには、登山中の水分摂取も重要なファクター。
『トイレがないから、なるべくお水は飲まないで』なんて冗談半分に言いながら、
各々のタンクの貯水量に賭けるしか無い(笑)

ぶっちゃけた話、排泄のことも疎かにしない行程マネジメントが、自立した登山者たるものですけどね。
排泄済の簡易トイレをそこかしこに捨てていく輩も一定数は必ずいるので、結局ゴミだけ増えてしまった…なんてことになっても困るだけなのに。

まぁ、トイレの無い時期の富士山の排泄物はすごいですよ。
こんなところに書けないけど(笑)

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